墓石の撥水コーティング(ぼせきのはっすいこーてぃんぐ) / 「お掃除不要」の裏に潜む、雪国特有の凍害リスク

  • 基本的な意味: 自動車のボディのように、墓石の表面に特殊なガラス系・シリコン系のコーティング剤を塗り、水弾きを良くして水垢やコケを防ぐ表面処理のことです。
  • 【地域事情】山形のお墓づくりで気を付けること: 最近のウェブ広告では「これでお墓掃除から解放されます!」と大々的に宣伝されています。温暖な地域なら良いかもしれませんが、氷点下の猛吹雪に晒される山形でこれを安易に導入するのは危険です。数年経ってコーティングが劣化し、目に見えない微細なヒビが入ると、そこから侵入した水分が「コーティングの膜」に阻まれて外に逃げられなくなり、石の内部で凍結膨張して石を内側から破壊(凍害)してしまいます。
  • 職人のホンネとアドバイス(ここだけの話): 天然の石は「呼吸」をしています。表面を人工的な化学物質で完全に塞いでしまうことは、石の寿命を縮めることに繋がりかねません。私たち石屋が時間をかけて行う「本磨き(専用の砥石で何工程もかけて鏡面のように磨き上げる技術)」こそが、最も石に負担をかけない自然の防汚処理です。コーティング剤に頼るのではなく、季節の節目に水と柔らかい布で優しく拭き上げていただくのが、雪国のお墓を一番美しく長持ちさせる秘訣です。