供養のこれからを考える:Z世代が示す「お墓」の新しい価値
核家族化が進み、タイパ(タイムパフォーマンス)やコスパ(コストパフォーマンス)を重視すると言われる現代の若者たち、いわゆるZ世代。
「彼らは先祖供養に関心がないのではないか?」「お墓という伝統的な文化はもう必要とされないのか?」
そうした疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私たち白田石材がZ世代の供養に対する意識を調べてみたところ、意外な事実が見えてきました。彼らは、先祖供養を否定しているわけでは決してありません。むしろ、自分たちなりの価値観で、供養との新しい向き合い方を探しているのです。

Z世代の先祖供養に対する「誤解」と「実態」
現代社会において、Z世代(概ね1990年代後半から2000年代に生まれた世代)は、デジタルネイティブとしての特性や、効率性、多様性を重視する価値観から、「伝統的な慣習には無関心」「先祖供養から離れている」といったステレオタイプなイメージを持たれがちです。特に、墓石を扱う石材業界においては、この世代の動向が将来的な事業の行方を左右する重要な要素として注目されています。しかし、実際の調査データからは、彼らが先祖供養に対して意外なほど高い関心と、従来の認識とは異なる独自の価値観を持っている実態が見えてきます。
世間一般で語られるZ世代の先祖供養に対する認識は、往々にして表面的な行動やライフスタイルの変化に焦点を当てたものです。しかし、より深く彼らの価値観を掘り下げると、伝統的な供養の「形式」には必ずしも固執しない一方で、その根底にある「意味」や「価値」は深く重視していることが明らかになります。彼らは、単に「お墓参り」という行為そのものよりも、そこから得られる「家族とのつながり」や「先祖への敬意」といった本質的な価値を求めているのです。
Z世代が「お墓は必要」と考える理由
「お墓は費用や管理の負担が大きい」という声が聞かれる一方で、近年の調査ではZ世代の6割以上が「お墓は必要」だと考えているという結果が出ています¹。その理由として最も多く挙げられたのが、「家族の繋がりを感じられるから」というものでした。
彼らが重要視しているのは、形式的な供養そのものではなく、「故人や家族とのつながりを実感できる場所」としての役割なのです。これは、物質的な豊かさよりも精神的な繋がりを重視するZ世代の価値観を反映していると言えるでしょう。
Z世代のお墓に対する意識調査結果
項目 | 調査結果 |
ご先祖様を祀るお墓があるか | 88.0% が「ある」と回答 |
年に1回以上お墓参りをするか | 74% が「する」と回答 |
お墓が必要だと思うか | 63.9% が「はい」と回答 |
お墓が必要だと思う理由(上位2つ) | 1. 家族のつながりを感じられるから (47.4%) 2. ご先祖様をしっかりと供養したいから (37.2%) |
一族のお墓を守っていくか | 61% が「守っていく」と回答 |
タイパ・コスパ重視のその先にあるもの

では、タイパやコスパを重視するZ世代は、どのように供養の形を選んでいるのでしょうか。 従来のお墓の管理や承継に不安を感じる彼らは、以下のような新しい供養の形に強い関心を持っています。
供養方法の多様化は、Z世代が供養に対して「画一的」な方法ではなく、個々の状況や価値観、経済状況に合わせた「個別化」された選択肢と、将来的な変更が可能な「柔軟性」を強く求めていることを示唆しています。例えば、「石のお墓」が最も希望されている一方で「海に散骨」も2番目に多く選ばれているのは、価値観の多様性の表れです 。
供養方法別 平均購入価格と年間管理費比較
供養方法 | 平均購入価格 | 年間管理費 | 特記事項 |
一般墓 | 158.7万円 | 7,907円 | 墓石代がかからないケースも37.9% |
樹木葬 | 69.6万円 | 6,027円 | 79.1%が「年間管理費はかからない」と回答 |
納骨堂 | 83.6万円 | 11,893円 | 直近5年間で価格下落傾向、一人用が安価 |
デジタル墓 | 24,900円 | 不要 | 故人を身近に感じられる、遠方からの墓参り可能 |
- 樹木葬や納骨堂: 管理の負担が少なく、費用を抑えられるこれらの方法は、Z世代にとって現実的な選択肢です。
- デジタル供養: 遠方にいても手軽に故人を偲べるオンライン法要や、故人のSNSアカウントを管理するデジタル終活サービスなども登場し、注目を集めています。
- 手元供養: 遺骨の一部を自宅に置くことで、いつでも故人を身近に感じたいと考える方も増えています。
これらの新しい供養の形は、伝統を軽んじているわけではなく、自分たちのライフスタイルや価値観に合った形で、故人を大切にしたいという思いから選ばれているのです。

変化する時代に、変わらない石材店の役割
供養の形が多様化する現代において、私たち石材店もその役割を見つめ直す必要があると考えています。それは、単に墓石を販売するだけでなく、お客様一人ひとりの思いに寄り添い、最適な供養の形を共に探していくこと。
「故人を偲ぶ場所は持ちたいけれど、従来の墓石には抵抗がある」 「自分たちの世代で墓じまいを考えているが、どこに相談すればいいかわからない」
こうしたお客様の悩みに耳を傾け、従来の墓石はもちろん、より現代的なデザイン、管理の負担が少ない墓石、あるいは樹木葬や納骨堂についても、そのメリット・デメリットを含めてご案内するコンサルティングこそ、これからの石材店に求められる役割だと感じています。
供養の形は時代とともに変わります。しかし、故人を想う気持ち、そして「故人とつながる場所を持ちたい」という普遍的な願いは、決してなくなることはありません。
有限会社白田石材は、これからもお客様の声に真摯に耳を傾け、次の世代へと想いを繋いでいくお手伝いをさせていただきます。どんなご相談でも、お気軽にお声がけください。