【宗派別】もう迷わない!葬儀・お墓参りの基本作法と、その意味を知る


■お参りの作法

はじめに

突然の訃報を受け、葬儀に参列する機会やお墓参り。故人を偲び、心を込めてお見送りしたいという気持ちとは裏腹に、「自分の家の作法と違うかもしれない」「焼香の回数は何回だっけ?」と、作法に戸惑った経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。

私たち有限会社白田石材は、山形県西村山郡の地で、皆様のお墓づくりや供養のお手伝いをさせていただいております。作法とは、先人たちが故人への敬意や宗教的な思想を形にしたもの。その意味を知ることで、より深く、温かい心で故人と向き合うことができます。

今回は、いざという時に慌てないために知っておきたい、仏教・神道・キリスト教の葬儀や墓参の基本作法を、歴史的背景や理由と共に詳しくご紹介します。

【仏教編】基本の作法と宗派による違い

日本の葬儀の多くを占める仏教。まずは基本となるお参りの作法を見ていきましょう。

1.仏教の基本的なお参り作法

  • 服装: 喪服を着用します。
  • 数珠(じゅず): 個人の宗派に関わらず、仏式の葬儀では持参するのがマナーです。数珠は持ち主の分身であり、仏様と心を通わせるための大切な法具です。左手で持つのが基本です。
  • 合掌・礼拝: 胸の前で静かに手を合わせ、故人の冥福を祈ります。お辞儀の角度は、故人やご本尊への敬意を示すように、丁寧に。
  • お線香・お焼香: 香りは心身を清め、仏様や故人の「食事」になるとも言われています(香食/こうじき)。煙に乗って、こちらの想いをあちらの世界へ届けるという意味合いもあります。

2.【宗派による違い】なぜ作法が違うの?

同じ仏教でも、お釈迦様の教えをどう解釈し、受け継いできたかによって宗派が分かれ、作法にも違いが生まれています。特に違いが表れるのが「お焼香」です。ご自身の宗派の作法で行うのが基本ですが、他家の葬儀ではその家の宗派に合わせるのがより丁寧です。

宗派焼香の回数額にいただくか特徴・理由
浄土真宗(本願寺派・大谷派)1回(本願寺派)、2回(大谷派)いただかない故人は阿弥陀如来の力により、すぐに極楽浄土へ往生すると考えます(他力本願)。そのため、自分の穢れを清める意味合いの「額にいただく」行為はせず、仏様への感謝の香りとして捧げます。
浄土宗1〜3回いただく念仏を称えることを最も大切にします。回数に厳しい決まりはありませんが、心を込めて行います。
真言宗3回いただく仏・法・僧の三宝、または大日如来・弘法大師・ご先祖様への供養として3回行います。
天台宗1回または3回いただく決まりは厳格でなく、心を込めて1回、もしくは仏法僧の三宝に捧げる意味で3回とされます。
曹洞宗・臨済宗(禅宗)2回1回目はいただき、2回目はいただかない1回目を主香(しゅこう)として敬虔な心で仏様に捧げ、2回目は従香(じゅうこう)として、主香が消えないように添えるという意味があります。
日蓮宗1回または3回いただく「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えることが最も重要視されます。参列者は1回、もしくは三宝への感謝を込めて3回行います。

※上記は一般的な作法です。地域やお寺によって異なる場合もあります。

【神道編】「穢れ」を清め、敬意を示す作法

神道では、死は「穢れ(けがれ)」と捉え、神聖な場所へ持ち込まないように「清める」ことを重視します。

  • 手水の儀: 神社への参拝と同様に、手や口を清めます。お墓参りの際も、まずはお墓を清めることから始めます。
  • 玉串奉奠(たまぐしほうてん): 葬儀(神葬祭)で焼香の代わりに行われます。玉串(榊の枝に紙垂をつけたもの)は、神様への捧げものであると同時に、自分の心を乗せて神様と故人に届けるためのものです。
    1. 右手で根元を上から、左手で葉先を下から支えるように受け取ります。
    2. 胸の高さに持ち、一礼します。
    3. 根本が手前に来るように時計回りに回し、祈りを込めます。
    4. 根本を祭壇(お墓)に向けて、両手でそっと置きます。
  • 拝礼: **「二拝二拍手一拝」が基本ですが、葬儀や墓前では、故人を偲び、音を立てずに手を合わせる「しのび手」**で行います。

【キリスト教編】神への祈りと故人への感謝

キリスト教では、死は「神のもとに召される喜ばしいこと」と考えられ、故人の安らかな眠りと遺族を慰めるための儀式が行われます。仏教の数珠や焼香はありません。

  • カトリックとプロテスタント:
    • カトリック: 神父が司式する「ミサ」が中心。故人の罪が許され、天国で安らかになるよう祈ります。聖歌の斉唱や聖書の朗読が行われます。
    • プロテスタント: 牧師が司式し、祈りや聖書朗読、賛美歌の斉唱が中心です。故人の生涯を神に感謝し、遺族を慰める意味合いが強くなります。偶像崇拝を禁じているため、遺影に手を合わせることは基本的にありません。
  • 献花: 仏教の焼香、神道の玉串奉奠の代わりに行われるのが献花です。白いカーネーションや菊などが使われます。
    1. 両手で花を受け取ります。(花が右、茎が左に来るように)
    2. 遺影(祭壇)に一礼します。
    3. 茎が祭壇側に向くように、献花台にそっと置きます。
    4. 再び深く一礼(または黙祷)をして下がります。
  • お墓参り: 特に決まった作法はありません。お墓をきれいに掃除し、花を飾り、静かに故人を偲び、神に祈りを捧げます。

おわりに

様々な宗教・宗派の作法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。形は違えど、その根底に流れるのは、**「故人を敬い、大切に想う心」**です。これこそが、最も尊い供養の形と言えるでしょう。

もし作法に迷うことがあれば、遠慮なく周りの方やご遺族に尋ねてみてください。その心遣い自体が、きっと故人やご遺族の心に届くはずです。

私たち有限会社白田石材は、お墓に関するご相談はもちろん、こうした供養に関する皆様の不安や疑問にも寄り添ってまいります。どうぞお気軽にお声がけください。