もしもの時に慌てない。急な葬儀の準備と心構え【喪主・親族別時系列ガイド】

※本コラムは、山形県(主に村山地方)における一般的な慣習と、有限会社白田石材の長年の経験に基づいて作成されています。地域や宗派、時代によって詳細が異なる場合がありますので、実際の進行は菩提寺様や葬儀社様とよくご相談ください。

「その時」は、突然訪れるものです。

悲しみの中にありながら、短期間で多くの決断を迫られる葬儀の準備。大切な方をしっかりとお見送りするためには、事前の知識が心の支えとなります。

今回は、創業以来、山形県村山地方で地域の皆様と共に歩んできた「有限会社白田石材」が、急な葬儀でも慌てないための知識と心構えを解説します。

心構え:完璧でなくていい、プロと地域を頼る勇気を

まず、最も大切な心構えです。

「すべてを自分たちだけで抱え込まないでください」

喪主様は責任感から無理をしがちですが、葬儀社や寺院、そして地域の「隣組(となりぐみ)」など、周りの力は必ず助けになります。専門家や地域の方々を頼ることは、決して恥ずかしいことではありません。

時系列で見る:葬儀の流れとやるべきこと

臨終から葬儀後までを4つのステップに分け、全国と山形(特に村山地方)の違い、そして「喪主」「親族」それぞれの動きを整理しました。

STEP 1:ご臨終~搬送・安置(当日)

病院で亡くなられた場合、数時間以内に搬送先を決める必要があります。

  • 全国一般: 病院から「自宅」、または住宅事情を考慮して「葬儀社の安置室」へ搬送します。
  • 山形県の場合:
    • 自宅安置の重視: 「一度は家に帰らせてあげたい」という想いが強く、可能な限り自宅の仏間へ安置するケースが多いです。
    • 冬場の雪対策: 冬季は、搬送車や弔問客がスムーズに入れるよう、玄関先や駐車場の除雪が必須です。親族だけでなく、近所の力が必要になる場面です。
役割やるべきこと・視点
喪主● 死亡診断書の受け取り
● 葬儀社への連絡(24時間対応が基本です)
● 搬送先の決定(自宅か、ホールか)
親族● 喪主のサポート(荷物の整理、支払いの準備)
● (山形・自宅安置の場合)布団の準備、冬場なら除雪の手配

STEP 2:打ち合わせ・関係各所への連絡(当日~翌日)

日程と場所、規模を決定します。この段階でのスピード感が、山形では特に求められます。

  • 全国一般: 葬儀社と日程を決め、親戚や知人に連絡します。
  • 山形県の場合:
    • お寺様の都合が最優先: 菩提寺(ぼだいじ)への連絡をいち早く行います。
    • 新聞の「お悔やみ欄」: 山形新聞などの「お悔やみ欄」への掲載が非常に重要視されます。地域の方々はここを見て訃報を知るため、掲載締め切り(午前中など)に間に合うよう、葬儀社と早急に文面を決めます。
    • 隣組・町内会への連絡: 地域によっては、隣組が受付や炊き出しを手伝う風習が色濃く残っています。組長さんへの連絡も忘れずに。
役割やるべきこと・視点
喪主● 菩提寺への連絡・枕経の依頼
● 喪主の決定
● 遺影写真の選定(ピントが合った笑顔の写真を探しておく)
親族● 遠方親戚への連絡
● 供花や盛籠(もりかご)のとりまとめ
● 宿泊する親族の寝具手配

STEP 3:お通夜・葬儀・告別式(2日目~3日目)

ここが全国と最も異なる点が含まれる、非常に重要なフェーズです。

  • 全国一般(後火葬): 「通夜」→「葬儀・告別式」を行い、最期に「出棺・火葬」となります。参列者は葬儀の時にお顔を見ることができます。
  • 山形県(村山地方など内陸部):
    • 「前火葬」と「骨葬」:多くの地域で、葬儀・告別式のに火葬を済ませる「前火葬」が行われます。そのため、葬儀はお骨の状態で行う「骨葬(こつそう)」となります。
    • 【最重要】お顔を見られる最後のタイミング:前火葬の場合、お顔を見てのお別れは**「火葬場へ向かう出棺の時(通夜の翌朝など)」**が最後です。遠方の親族が「葬儀(告別式)から参列」した場合、「すでにお骨になっていてお顔が見られなかった」という悲しいすれ違いが起こりえます。
    • 念珠繰り(ねんじゅくり): 葬儀の中で、大きな数珠を参列者全員で回して供養する儀式が行われることがあります。
役割やるべきこと・視点
喪主● 参列者への挨拶
● 僧侶へのお布施のお渡し
● 弔電の確認
親族「火葬の時間」の周知徹底(遠方者にお顔を見てもらいたい場合、火葬の時間に来てもらう必要があります)
● 受付の手伝い(地域の協力がない場合)

STEP 4:葬儀後~四十九日まで(納骨)

葬儀が終わっても、供養は続きます。

  • 納骨について:
    • 一般的には四十九日に合わせて納骨しますが、山形の冬は積雪でお墓に行くことすら困難な場合があります。
    • 白田石材のアドバイス:無理に四十九日に納骨する必要はありません。お墓が雪に埋もれている場合は、**「雪解けを待って、春のお彼岸や百箇日(ひゃっかにち)に納骨する」**という判断も、ご先祖様を大切にする立派な選択です。
    • 戒名彫刻:納骨までに、墓石や墓誌に戒名を彫刻する必要があります。冬場は工事ができない期間もあるため、早めに石材店へ相談しましょう。
役割やるべきこと・視点
喪主● 香典返しの手配
● 納骨時期の決定と石材店への彫刻依頼
● 各種名義変更手続き
親族● 喪主の精神的サポート
● 法要日程の調整協力

慌てないための事前準備リスト

いざという時に備え、エンディングノート感覚で以下を整理しておきましょう。

  1. 連絡先リストの作成: いざという時に連絡すべき親族・知人のリスト化。
  2. 写真の整理: 遺影に使えそうな写真の候補(データ・現物)。
  3. 菩提寺の確認: 宗派と連絡先、お墓の場所。
  4. 地域の慣習確認: 自分の地域は「前火葬」か「後火葬」か。

最後に

葬儀は故人様への感謝を伝える大切な儀式です。形式や手順も大切ですが、何よりも「送る心」が一番の供養になります。また、地域独自の風習は、故人が生前大切にしていた「つながり」そのものでもあります。

有限会社白田石材では、お墓の建立やお引越し、戒名彫刻だけでなく、こうした地域の葬儀事情や供養に関するご相談も承っております。山形の風土に根ざした石材店として、皆様の「もしも」の時の不安に寄り添います。


参考文献・出典

  • 一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会「葬儀の知識」