50年後の未来へ、想いを繋ぐ―気候変動と私たちの暮らし

山形に根ざし、百余年にわたり石と向き合ってきた白田石材でございます。

近頃、お客様との会話で「今年の夏は特に暑かったねぇ」「昔はこんなに暑くなかった」というお話をよく耳にします。それは、決して気のせいではありません。この50年間で、私たちの暮らす日本の気候は大きく変化しているのです。今回は、この気候変動について、そして、それが私たちの暮らし、特に山形での日々やご高齢の方々にとってどのような意味を持つのか、石材店の視点から考えてみたいと思います。

50年前と今の日本、気温はどう変わった?

気象庁のデータによれば、日本の年平均気温は過去100年で約1.28℃上昇しています 。特に都市部では、その上昇幅はさらに顕著です。例えば、東京や大阪のような大都市では、この50年間で夏の平均気温が数℃も上がったというデータもあります 。  

この気温上昇の主な原因は、地球温暖化ヒートアイランド現象の2つが複合的に作用していると考えられています 。  

  • 地球温暖化:産業活動の活発化に伴い、二酸化炭素などの温室効果ガスが大気中に増え、地球全体の気温を上昇させています 。これは、日本だけでなく世界的な規模で進行している現象です 。  
  • ヒートアイランド現象:都市部では、アスファルトやコンクリートが太陽の熱を吸収し、夜間に放出します 。また、エアコンの排熱や自動車の排気熱なども加わり、郊外に比べて気温が高くなる現象です 。  

山形も例外ではありません

私たちの故郷、山形県もこの流れから無縁ではありません。山形地方気象台の観測データによると、山形市では年平均気温が100年あたり1.4℃上昇しており、特に夜間の最低気温の上昇率が、最高気温の上昇率よりも高い傾向にあります 。これは、夜間の「涼」が失われつつあることを示しており、熱帯夜の増加につながっています 。  

気温上昇の影響は、暑さだけにとどまりません。山形市では、猛暑日日数が100年あたり4.2日増加する一方で、降雪量が50年あたり23cm減少しています 。この降雪量の減少は、特に山形の貴重な観光資源である蔵王の樹氷の消失につながる懸念も指摘されています 。  

高齢者の方々への影響と、私たちができること

この気温上昇は、特にご高齢の方々にとって大きな脅威となります。熱中症患者の約半数は65歳以上の方が占めており、高齢者が熱に対して極めて脆弱であることがわかっています 。  

  • 体温調節機能の低下:年齢を重ねると、汗をかく能力や皮膚の血流を増やす機能が弱まり、体にこもった熱を逃がしにくくなります 。  
  • 喉の渇きを感じにくい:脱水症状になりやすいにもかかわらず、喉の渇きを感じにくくなるため、水分補給が遅れがちになります 。  
  • 病気との関連:心臓や腎臓に持病をお持ちの方は、気温上昇が体への負担をさらに増大させる可能性があります 。  

熱中症による死亡者数は、日本国内で2000年から2023年の間で約8倍に増加したというデータも報告されており、看過できない状況です 。ご高齢のご家族をお持ちの方は、一層の注意が必要です。喉が渇いていなくてもこまめな水分補給を促したり、温湿度計で室内温度を確認し、エアコンを適切に利用したりといった対策が欠かせません 。  

また、夏の暑い日のお墓参りも注意が必要です。特に日陰が少ない墓地では、熱中症のリスクが高まります。つばの広い帽子やUVカット機能付きの日傘、冷たい飲み物の持参はもちろん、冷感タオルや携帯用扇風機といった便利グッズの活用も有効です 。何より大切なのは、「無理をしない」という心構えです。  

今後の推移と、私たちの未来

このままの状況が続けば、日本の平均気温は今世紀末までに最大で4.5℃上昇し、猛暑日や熱帯夜の日数も大幅に増加すると予測されています 。このような変化は、熱中症リスクの増加だけでなく、豪雨や台風といった自然災害の頻発にもつながりかねません 。  

白田石材は、数千年の時を超えてその姿を変えない「石」という素材を扱っております。石は熱を蓄積しやすい性質を持ちますが、一方で、透水性や保水性を持つ石材は、路面温度を低下させる効果も期待できます 。自然の素材を上手に活用し、風通しの良い、涼やかな環境づくりを考えることも、一つの対策となるかもしれません。  

50年前とは違う気候の中で、私たちはどのように暮らし、未来へ想いを繋いでいくべきか。白田石材は、石という永遠の素材を通して、人々の暮らしと未来に寄り添い、安心をお届けしたいと願っています。

どうぞ、お墓のこと、お庭のこと、暮らしの中で石の力を活かすこと、なんでもお気軽にご相談ください。