石とCO₂削減、地球温暖化を考える|石材店が知る「石の力」:CO₂を永遠に固定する鉱物化技術
はじめに:石材店から見る地球温暖化
有限会社白田石材は、長年にわたり人々の生活に寄り添う「石」を扱ってきました。しかし、現代社会が直面する最大の課題、地球温暖化は、私たち石材業界にとっても無関係ではありません。温暖化の原因となる二酸化炭素(CO₂)の削減が叫ばれる中、実は、私たちの身近にある「石」がCO₂を吸収・固定する大きな可能性を秘めていることをご存知でしょうか。
この記事では、石の持つ自然の力に注目した革新的な温暖化対策技術、「CO₂の鉱物化」について、わかりやすく解説します。

1. 「CO₂の鉱物化」とは?石がCO₂を食べる仕組み 🌍
「CO₂の鉱物化(ミネラリゼーション)」とは、大気中や排出ガスから回収したCO₂を、**固体である「石」(炭酸塩鉱物)**として化学的に固定する技術です。これは、自然界で岩石が数百万年かけて風化するプロセスを、人工的に加速させるものと言えます。
仕組みの要点
- CO₂の回収と圧入: 発電所などから排出されたCO₂、あるいは大気中から直接回収したCO₂を水に溶かし、地下深部の特定の岩石層に圧入します。
- 化学反応: 地下には、玄武岩などの火成岩が多く存在します。これらの岩石には、**カルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)**といった金属成分が豊富に含まれています。
- 炭酸塩鉱物の生成: 圧入されたCO₂を含む水がこれらの岩石成分と化学反応を起こし、最終的に炭酸塩鉱物(石灰石などの主成分)という「石」となって固まります。
- [反応のイメージ: CO2 + 水 + 岩石中の金属 → 炭酸塩鉱物(石)]
この反応が、CO₂を最も安定した形で「閉じ込める」メカニズムです。

2. 地球温暖化対策におけるCO₂鉱物化の決定的なメリット
CO₂鉱物化は、他の温暖化対策技術にはない、いくつかの決定的な利点を持っています。
① 恒久的なCO₂の隔離(漏洩リスクの解消)🛡️
最大のメリットは、CO₂が**「固体(石)」**になることです。
- 従来のCO₂貯留技術では、CO₂を液体や超臨界流体として地下に貯めますが、地震などの影響で地層から漏洩するリスクが懸念されていました。
- 鉱物化技術であれば、CO₂は自然の岩石と同じ状態になるため、大気中への再放出リスクがほぼゼロとなり、数万年〜数十万年にわたって安定して固定されます。これは、地震大国である日本にとって特に重要なメリットです。
② ネガティブエミッション(大気中のCO₂を減らす)の実現 💨
この技術を**DAC(Direct Air Capture:大気からCO₂を直接回収)**と組み合わせることで、工場などの排出源だけでなく、すでに大気中にあるCO₂を直接回収し、石として固定できます。
- これは「ネガティブエミッション」と呼ばれ、単なる排出削減に留まらず、地球のCO₂濃度を下げるための**「切り札」**として期待されています。

3. 石材店として考えるCO₂鉱物化の未来
私たち石材店は、石の持つ「硬さ」「永続性」「美しさ」を扱っています。CO₂鉱物化技術は、まさに石が持つこの**「永続性」**を、地球温暖化対策に活用するものです。
世界では、アイスランドなどでこの鉱物化技術を用いた実証プロジェクトが進んでおり、CO₂がわずか2年程度で石になるケースも報告されています。
CO₂を固めた炭酸塩鉱物が、将来的には建設資材や工業原料として利用される**「カーボンリサイクル」**にも繋がり、資源として循環する可能性も秘めています。
私たち白田石材は、自然が育んだ「石」の偉大な力に改めて敬意を表し、この技術が地球の未来を救う一助となることを期待しています。
出典・参考情報
- JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)ニュースリリース
- 東京大学大学院工学系研究科 プレスリリース
- NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)資料
- Carbfix(アイスランドのCO₂鉱物化企業)に関する報道