ロマンス詐欺の最新手口と心理学的分析:大切な人を守るための確かな知識
はじめに
現代社会において、インターネットやSNSの普及に伴い、その手口が巧妙化・多様化しているのが「ロマンス詐欺」です。これは、恋愛感情や親近感を抱かせ、最終的に金銭をだまし取る特殊詐欺の一種であり、被害は深刻化しています。大切な人を守り、自身が被害に遭わないための知識と対策を、科学的・心理学的な視点から解説します。
第1章:ロマンス詐欺の最新手口と傾向

ロマンス詐欺は、SNSやマッチングアプリ、さらにはゲーム内コミュニティなど、様々なオンラインプラットフォームを入り口としています。特に近年、以下の点で手口が進化し、被害が急増しています。
1.1 「投資型」ロマンス詐欺の激増
従来の「病気の治療費」「会うための渡航費」などの金銭要求に加え、「二人の将来のため」といった言葉で、暗号資産(仮想通貨)やFXなどの投資話に誘導するケースが主流となっています。
- 手口の巧妙化: 最初は少額の投資で利益が出たように見せかけ(偽の投資アプリやサイトを利用)、被害者を信じ込ませます。その後、「もっと大きな利益を得るために」と、さらに高額の送金を要求し、最終的に出金できない状況を作り出します。
- SNS型投資詐欺との融合: 警察庁のデータでも、この「SNS型投資・ロマンス詐欺」の被害が著しく増加しており、被害者の年齢層は40代から60代を中心に、幅広い層に及んでいます。
1.2 なりすましの高度化
プロフィール写真には、モデルや成功したキャリアを持つ人物を装い、被害者を引きつけます。さらに、翻訳アプリや**生成AI(人工知能)**の進化により、ネイティブスピーカーではない犯人でも、文法的に自然な日本語や、魅力的なメッセージを継続的に送ることが容易になっています。
- AIによる音声・動画の悪用: 将来的には、AIを用いて作成された本人そっくりの音声や動画によるコミュニケーションを通じて、さらに深い信頼を構築するリスクも指摘されています。
第2章:なぜ騙されてしまうのか?—科学的・心理学的分析

「自分は騙されない」という自信を持つ人ほど、詐欺被害に遭いやすいという研究結果もあります(楽観バイアス)。ロマンス詐欺は、人間の根源的な心理メカニズムを巧みに悪用しています。
2.1 信頼(トラスト)の形成メカニズムの悪用
ロマンス詐欺のプロセスは、対人場面における信頼の形成に重点を置いています。
- 時間をかけた関係構築: 犯人は数カ月、時には1年以上の時間をかけ、日常的なメッセージのやり取りを通じて、被害者の孤独感や承認欲求を満たし、強い**感情的な絆(愛着)**を築きます。
- コミットメントと一貫性の原理: 被害者が時間や感情、そしてわずかながらも金銭を投じる(コミットメント)ことで、「これまでの関係は本物だ」と自分に言い聞かせ、その判断を一貫させようとする心理(一貫性の原理)が働きます。これにより、たとえ不審な点があっても、関係を断ち切るのが難しくなります。
2.2 認知的不協和の解消とエスカレーション
金銭の要求があった際、被害者の心には「相手を信じたい気持ち」と「詐欺かもしれないという疑念」の間で認知的不協和が生じます。
- 自己正当化: 被害者は、この不協和を解消するために、「これだけ親密になったのだから大丈夫だ」「相手は困っている」と信じる方に傾きがちです。
- サンクコスト効果: 一度振り込んでしまうと、「お金を取り戻そう」という心理や、「これだけ投資したのだから諦められない」という**埋没費用(サンクコスト)**の考えから、犯人の要求に応じ続け、被害額がエスカレートする傾向があります。
第3章:確かな対処法と「白田石材」からの提言

ロマンス詐欺への最大の防御策は、立ち止まる勇気を持ち、第三者の客観的な視点を入れることです。
3.1 詐欺を見抜くためのチェックリスト
以下のポイントに一つでも当てはまったら、詐欺を疑い、即座に立ち止まってください。
- 金銭要求の有無: 一度も会ったことがない相手から、いかなる理由であれ(投資、旅費、病気の治療費など)金銭や個人情報(銀行口座など)の要求があった。
- 愛情表現の過剰さ: 出会って間もないのに「愛している」「結婚したい」など、過剰で急進的な愛情表現を繰り返す。
- オンラインのみの関係: 実際に会うことや、顔出しでのビデオ通話を避ける(ビデオ通話でもフェイク動画の可能性あり)。
- 「絶対儲かる」投資話: 投資に絶対はありません。特に「二人の将来のため」と感情を揺さぶって投資を勧めてくる。
- 秘密の強調: 「これは二人だけの秘密にしてほしい」と、家族や友人に相談することを強く避けさせる。
3.2 実行すべき具体的な対処法
- 直ちに連絡を断つ: 疑念が解消されない場合は、相手をブロックするなどして、連絡を完全に遮断しましょう。感情的なつながりを断ち切ることが、被害拡大を防ぐ第一歩です。
- 証拠の保全: やり取りのスクリーンショットや、送金記録など、すべての情報を保存してください。これらは後々、警察や弁護士に相談する際の重要な証拠となります。
- 必ず誰かに相談する: 被害者は冷静な判断が難しくなっています。信頼できる家族や友人、そして公的な機関に必ず相談しましょう。
- 警察相談ダイヤル「#9110」
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」