芋煮をめぐる山形の旅

秋の山形といえば、なんといっても「芋煮」です。 県内の河川敷では、家族や仲間と大きな鍋を囲んで芋煮を楽しむ「芋煮会」の光景が風物詩となっています。 今回は、そんな山形県民のソウルフード「芋煮」の歴史と、地域ごとの個性豊かな味についてご紹介します。

芋煮の歴史

芋煮のルーツは江戸時代、舟運が盛んだった頃にさかのぼります。 京都から最上川を下って物資を運んでいた舟方たちが、里芋と薪を現地調達し、牛肉の代わりに味噌で味付けをした芋汁を炊いて食べたのが始まりとされています。 その後、時代とともに牛肉が使われるようになり、醤油や味噌など、地域ごとの味付けが生まれていきました。

芋煮の作り方~内陸と庄内の違い~

山形県の芋煮は、大きく分けて「内陸風」と「庄内風」の2種類に分かれます。

内陸風芋煮(山形市周辺)

  • 特徴: 醤油ベースのあっさりとした味付け
  • 材料: 里芋、牛肉、こんにゃく、ねぎ、きのこなど
  • 味付け: 醤油、砂糖、みりんなど
  • ポイント: 里芋と牛肉の旨みが溶け出した、素朴ながらも深い味わいが特徴です。 山形市では毎年、直径6.5mの巨大鍋で芋煮を作る「日本一の芋煮会フェスティバル」が開催され、多くの観光客で賑わいます。

庄内風芋煮(鶴岡市、酒田市など)

  • 特徴: 味噌ベースのコクのある味付け
  • 材料: 里芋、豚肉、油揚げ、きのこ、根菜など
  • 味付け: 味噌
  • ポイント: 豚肉と味噌の組み合わせが、より濃厚で食べ応えのある味わいを生み出しています。 豚汁のような親しみやすい風味で、ご飯にもよく合います。

芋煮と石材店の意外なつながり

芋煮に欠かせないのが、河原での芋煮会です。 大きな鍋を支えるために、石を組んでかまどを作るのも芋煮会の楽しみの一つ。 私たちは普段、墓石や記念碑など「未来に残す形あるもの」を扱っていますが、芋煮会のように、石が「人と人とのつながり」を生み出す場にあることを改めて感じます。

芋煮を囲んで語り合う時間、その笑顔こそが、山形県民にとってかけがえのない宝物です。 皆様もぜひ、ご自宅で山形の芋煮を作ってみてはいかがでしょうか? 温かい芋煮を囲んで、大切な人と心温まる時間をお過ごしください。