知っていますか?お墓参りの線香とロウソクに込められた深い意味。歴史と宗派による違いも専門家が解説
【はじめに】
お盆やお彼岸、故人の命日など、私たちがお墓参りをする際、当たり前のようにロウソクに火を灯し、線香をあげます。この何気ない一つ一つの行為に、実は仏教の教えに基づいた、ご先祖様や故人への深い想いが込められていることをご存知でしょうか。
なぜロウソクの「光」が必要で、線香の「香り」を供えるのか。その意味や歴史を知ることで、いつものお墓参りの時間が、より心豊かで意義深いものに変わるはずです。
この記事では、山形県寒河江市、西村山郡で皆様の供養に寄り添ってきた私たち白田石材が、線香とロウソクに込められた意味を、歴史的背景や宗派による違いも交えながら、分かりやすく解説します。

なぜロウソクを灯すの?「灯明(とうみょう)」に込められた3つの意味
お墓でロウソクに火を灯す行為は、仏教において「灯明(とうみょう)」と呼ばれる大切な供養の一つです。灯明には、主に3つの意味が込められています。
1. 仏の知恵の光 仏教では、煩悩や無知を「闇」に例えます。ロウソクの光は、その闇を照らし出す「仏様の智慧(ちえ)」の象徴とされています。明るく道を照らす光に、私たちが正しい道を進めるようにという願いが込められているのです。
2. 場を清める浄化の光 火が持つ浄化の力は、仏教伝来以前から世界中で神聖なものとされてきました。ロウソクの炎は、お墓という神聖な場所や、お参りに来た私たち自身の心身の穢れを祓い、清める力があると信じられています。
3. 顔を照らす導きの光 これは少し情緒的な解釈ですが、ロウソクの光は、お参りに来た人の顔を明るく照らし、ご先祖様に「〇〇が会いに来ましたよ」と知らせる役割があるとも言われています。光を通して、故人との再会を果たすという意味合いです。

なぜ線香をあげるの?「香り」に込められた4つの意味
線香の香りと煙にも、ロウソクと同じく仏教の教えに基づいた重要な意味があります。
1. 故人のための食事(香食/こうじき) これが線香をあげる最も基本的な意味です。仏様や故人は、食べ物そのものではなく、「香り」を食事として召し上がると考えられており、これを「香食(こうじき)」と言います。良い香りの線香を供えることは、ご馳走をお供えするのと同じおもてなしなのです。
2. その場と心を隅々まで清める 線香の香りは、煙と共にその場の隅々まで行き渡ります。この香煙が、お参りの空間だけでなく、お参りする人の心の中にある邪念や穢れも祓い、清めてくれると言われています。
3. こちらの想いを届ける懸け橋 天に向かって揺らめきながら立ち上る煙は、私たちの祈りや感謝の気持ちを、ご先祖様や故人がいる「あちらの世界」まで届けてくれる懸け橋になると信じられています。線香の香りは、故人とのコミュニケーションツールでもあるのです。
4. 仏教の教え「利他行」の体現 線香は、自らの身を燃やすことで、周りに良い香りを放ち、人々を癒やします。その姿が、他者のために尽くすという仏教の「利他行(りたぎょう)」の精神を体現しているとも言われています。
意外と知らない?宗派による線香の本数とあげ方の違い
線香のあげ方には、宗派によって特徴があります。ご自身の宗派の作法を知っておくと、より丁寧な供養に繋がります。
■ 一般的な本数とその意味 特に決まりがない場合は、1本または3本立てることが多いです。
- 1本の場合: 仏様や故人と一心に向き合うという想い。
- 3本の場合: 仏・法・僧の「三宝(さんぽう)」に帰依するという意味。
■ 【浄土真宗】線香を「寝かせる」理由 浄土真宗では、線香を**立てずに、香炉の大きさに合わせて折り、火をつけた側を左にして横に寝かせます。**これは、浄土真宗の教えでは、亡くなった人は阿弥陀如来の力によってすぐに極楽浄土へ導かれるため、煙で道を指し示す必要がないと考えられているためです。煙ではなく、「香り」そのものを仏様にお供えすることを最も大切にします。
■ その他の主な宗派 天台宗や真言宗では3本、曹洞宗や臨済宗では1本を立てることが多いとされています。
大切なのは「心」 作法は宗派によって異なりますが、最も大切なのはご先祖様を敬い、感謝する気持ちです。山形県内でも地域や各お寺様によって慣習が異なる場合もありますので、作法に迷ったら、ご家族の年長者や、私たち白田石材のような専門家にお気軽にお尋ねください。

まとめ:意味を知れば、お墓参りの時間はもっと豊かになる
何気なく行っていたお墓参りの作法も、一つ一つの意味を知ると、ご先祖様への想いがより一層深まるのではないでしょうか。
ロウソクの光は仏様の智慧、線香の香りはご先祖様へのお食事であり、私たちの心を清め、想いを届けてくれる大切な懸け橋です。
白田石材では、お墓の建立や修理だけでなく、お墓参りの作法や、供養に関するどんな小さな疑問にも、誠心誠意お答えいたします。お墓のことで何か気になることがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。